5.優良行と経営難の地銀が分かれた要因
ここまで見てきて、ひとことで地方銀行と言っても、色んな規模があることが分かりました。
また、利益の金額や自己資本比率が示すように、優良行と経営難の地銀が生じています。
なぜ、このような差が生じたのでしょうか?
①人口減少
一番大きな理由は、人口減少です。
全国的に人口が減っているのは周知のとおりですが、大都市圏はむしろ増えているところもあり、地域によって事情が異なります。
(都道府県別の人口推移)
2010年 | 2018年 | 増減率 | |
北海道 | 551万人 | 529万人 | 96.0% |
青森県 | 137万人 | 126万人 | 92.0% |
岩手県 | 133万人 | 124万人 | 93.3% |
宮城県 | 235万人 | 232万人 | 98.6% |
秋田県 | 109万人 | 98万人 | 90.3% |
山形県 | 117万人 | 109万人 | 93.2% |
福島県 | 203万人 | 186万人 | 91.9% |
茨城県 | 297万人 | 288万人 | 96.9% |
栃木県 | 201万人 | 195万人 | 96.9% |
群馬県 | 201万人 | 195万人 | 97.2% |
埼玉県 | 720万人 | 733万人 | 101.9% |
千葉県 | 622万人 | 626万人 | 100.6% |
東京都 | 1,316万人 | 1,382万人 | 105.0% |
神奈川県 | 905万人 | 918万人 | 101.4% |
新潟県 | 237万人 | 225万人 | 94.6% |
富山県 | 109万人 | 105万人 | 96.1% |
石川県 | 117万人 | 114万人 | 97.7% |
福井県 | 81万人 | 77万人 | 96.0% |
山梨県 | 86万人 | 82万人 | 94.7% |
長野県 | 215万人 | 206万人 | 95.9% |
岐阜県 | 208万人 | 200万人 | 96.0% |
静岡県 | 377万人 | 366万人 | 97.2% |
愛知県 | 741万人 | 754万人 | 101.7% |
三重県 | 186万人 | 179万人 | 96.5% |
滋賀県 | 141万人 | 141万人 | 100.1% |
京都府 | 264万人 | 259万人 | 98.3% |
大阪府 | 887万人 | 881万人 | 99.4% |
兵庫県 | 559万人 | 548万人 | 98.1% |
奈良県 | 140万人 | 134万人 | 95.6% |
和歌山県 | 100万人 | 94万人 | 93.3% |
鳥取県 | 59万人 | 56万人 | 95.1% |
島根県 | 72万人 | 68万人 | 94.8% |
岡山県 | 195万人 | 190万人 | 97.6% |
広島県 | 286万人 | 282万人 | 98.5% |
山口県 | 145万人 | 137万人 | 94.4% |
徳島県 | 79万人 | 74万人 | 93.8% |
香川県 | 100万人 | 96万人 | 96.6% |
愛媛県 | 143万人 | 135万人 | 94.5% |
高知県 | 76万人 | 71万人 | 92.4% |
福岡県 | 507万人 | 511万人 | 100.7% |
佐賀県 | 85万人 | 82万人 | 96.4% |
長崎県 | 143万人 | 134万人 | 94.0% |
熊本県 | 182万人 | 176万人 | 96.7% |
大分県 | 120万人 | 114万人 | 95.6% |
宮崎県 | 114万人 | 108万人 | 95.2% |
鹿児島県 | 171万人 | 161万人 | 94.6% |
沖縄県 | 139万人 | 145万人 | 103.9% |
(合計) | 1億2806万人 | 1億2644万人 | 98.7% |
地銀上位に顔を出す横浜銀行、福岡銀行、千葉銀行などは、いずれも多くの人口を抱える大都市圏にあります。
地銀は地元経済に強い影響を受けるので、人口が少ない自治体・人口が減少する自治体に本店を置く地銀は、圧倒的に不利なのです。
もはや、一県一行主義のビジネスモデルは完全に破綻していると言えます。
②低金利政策
二番目の理由は、低金利政策です。
もともとデフレで低金利が続いた上、アベノミクスでも超低金利政策が進められたため、金利収入は減少の一途。
これに対し各銀行は、金利がとれる消費者ローンや手数料ビジネスを推進しましたが、やはり人口が多い大都市圏の方が有利です。
③経営戦略
これは、上記2つよりは影響が少ないと思っています。
地域経済に縛られるうえに、監督官庁の規制が厳しい地方銀行は、独自の経営戦略を打ち出しにくいのです。
だからと言って、何もしなくて良い訳ではありません。
スルガ銀行は、高金利のシェアハウス向け融資やアパートローンに特化して、高収益をたたき出していました。
結果として上手くいかなかったものの、戦略次第で収益を上げる可能性があることを示したと思います。
山口銀行は、市場が大きい福岡県に「北九州銀行」を新設して、勝負をかけています。
これらの挑戦にはリスクがつきまといますが、挑戦しない地銀に未来はないでしょう。
◆まとめ
という訳で今回は、地方銀行64行を様々なランキングで紹介してきました。
地方銀行の再編は待ったなしの状態であり、2020年も大きな動きが出てくると思います。
数年後には、地銀の数が大きく減っているかもしれません…
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